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白浜民報 第1131号
白浜民報 第1131号 2009年7月5日発行
長尾川源流地域での
風力発電開発の諸問題を考える(5)
長尾川と白浜町住民への影響はどうなのか?(続き)
長尾川源流の森林に大規模な手を加えて大丈夫なのか?
長尾川源流域に大規模な風力発電開発を計画しているCEFは、
長尾川流域での開発面積は7.9haで、
森林面積およそ1683haの0.57%としています。
たった0.57%ぐらいなら・・と考えていいのでしょうか?
「森は海の恋人」
山に木を植える漁師達・・
21年前、カキの養殖で有名な宮城県気仙沼湾の漁師達は、
湾に流れ込む大川への県営ダム建設に反対の運動を起こしました。
運動に賛同された地元の歌人熊谷さんは
『森は海を 海は森を恋いながら 悠久よりの愛紡ぎゆく』
という歌を寄せました。
「森は海の恋人」という美しく人の心に響くキャッチフレーズによって、
運動は市民の間にも広がり、
ついにはダム建設計画を止めさせました。
その後今も、
毎年1000人あまりが参加する魚付林を育てる植樹が続けられています。
魚付林の意味
昔から沿岸漁業には、
魚付林が必要であると経験的に言われてきました。
近年それが科学的に解明されつつあり、
魚付林ということばも沿岸部の林だけでなく、
海に流れ込む川の流域森林も含むという考えが生まれています。
フルボ酸鉄が海の生き物を育てている
元北海道大学教授の、松永勝彦さん
(『森が消えれば海が死ぬ」の著者としても有名)
を中心にした研究によって、
森林が海の生き物を育てる源であることが分かってきています。
その内容を紹介します。
魚・エビ類←動物性プランクトン←植物性プランクトン
アワビ・サザエなど貝類←海藻
白浜の地域経済を支えている魚・エビ類やアワビなど貝類の生育は、
プランクトンと海藻がどれ程育つかにかかっています。
プランクトンや海藻類が育つには、
陸上と同じように、
窒素・リン酸・カリやその他の微量栄養素が必要ですが、
これらを体内に取り込むには鉄がなくてはなりません。
人間の場合での鉄=ヘモグロビンと同じです。
フルボ酸鉄は森林の落ち葉などで作られる
落ち葉などが森林の中に堆積し、
微生物による分解や化学反応によって
フミン酸とフルボ酸という物質が作られます。
森林土壌の中の鉄をフミン酸が、水に溶けるイオンというかたちに変えます。
フルボ酸がその鉄イオンとが結びついてフルボ酸鉄になり、
河川をくだり海に入ります。
海のプランクトンや海藻類は、
鉄そのものを吸収することはできず、
イオンになっているフルボ酸鉄を取り入れてはじめて、
窒素などの栄養を体内に取り入れて育つことができます。
東京大学講師の山本光夫氏は2004年、
北海道増毛漁協と共に藻場回復の実験をしました。
鉄鋼スラグと堆肥を詰めたケースをなぎさに置いたところ1年目で、かなかったところに比べて重さで230倍の海藻が育ったことを確かめました。
(鉄鋼スラグは、鉄鋼を作るとき出るカスで、セメントに混ぜたり道路面に使われたりしていますが、環境への影響はまだ解明が不十分です。)
これまで「磯焼け」の原因として、
水質汚濁・水温上昇・ウニの食害などが考えられていましたが、
最近では森林開発とコンクリート護岸によって
フルボ酸鉄が作られにくくなっていることも、
原因とされるようになっています。
北極や南極に近い海では、
窒素やリン酸などの栄養素がとてもゆたかなのに、
海藻も育たず魚介類も住まない海域があるそうです。
その原因は、陸地に森林が無いからであろうと言われています。
1haの森林には3トンの堆積物
森林の落ち葉などの堆積物こそが、
安全に海の生き物たちを育ててくれていることが、
このように科学的にほぼ証明されています。
1haの森林には3トンの落ち葉など有機物の堆積があると言われています。
森と海の関係がかなり明らかになっている今、
長尾川源流域での7.9ha の森林消滅が、今と将来の白浜住民に何をもたらすのか?
慎重の上にも慎重に考えなければならないのではないでしょうか。
下沢のAさんは こう言われます
「風力発電など環境に優しいエネルギーを作ることは必要だが、そのために人の健康や自然をそこなったりするのは本末転倒。
それよりも行政が音頭をとって、
今地域にあるトウジイなどの未利用資源活用を考えるべきではないか。
トウジイを順繰りに間伐していけば、
景観もそこねず、エネルギー資源を無限に安定して生み出せる。
エネルギーの地産地消を考える時ではないか。」
同感です。
町内の木材をチップに加工し、
各家庭の炊事と暖房用に供給している自治体があります。
木材を燃やす時に温室効果ガスが出ますが、
その量は、
木材が育つ間に吸収した量と同じといいますから、
木質エネルギーは環境への負荷が少ない、
石油や電力よりずーっとましなエネルギー源と言えましょう。
しかも、トウジイの伐採に併せて落葉広葉樹の植林を進めれば、
川や海にフルボ酸鉄をたくさん供給して
魚介類の生産を増やすこともできるでしょう。
落ち葉と海藻で作る有機堆肥と安定した農業用水によって
農業が発展する道も開けるかも知れません。
山でも田畑でも海でも働く場が増え、
若者が年寄りといっしょに暮らせる白浜へ・・。
そのような夢実現への道を、森林の活用を原点にして描いてみたいものです。
長尾川源流地域での
風力発電開発の諸問題を考える(5)
長尾川と白浜町住民への影響はどうなのか?(続き)
長尾川源流の森林に大規模な手を加えて大丈夫なのか?
長尾川源流域に大規模な風力発電開発を計画しているCEFは、
長尾川流域での開発面積は7.9haで、
森林面積およそ1683haの0.57%としています。
たった0.57%ぐらいなら・・と考えていいのでしょうか?
「森は海の恋人」
山に木を植える漁師達・・
21年前、カキの養殖で有名な宮城県気仙沼湾の漁師達は、
湾に流れ込む大川への県営ダム建設に反対の運動を起こしました。
運動に賛同された地元の歌人熊谷さんは
『森は海を 海は森を恋いながら 悠久よりの愛紡ぎゆく』
という歌を寄せました。
「森は海の恋人」という美しく人の心に響くキャッチフレーズによって、
運動は市民の間にも広がり、
ついにはダム建設計画を止めさせました。
その後今も、
毎年1000人あまりが参加する魚付林を育てる植樹が続けられています。
魚付林の意味
昔から沿岸漁業には、
魚付林が必要であると経験的に言われてきました。
近年それが科学的に解明されつつあり、
魚付林ということばも沿岸部の林だけでなく、
海に流れ込む川の流域森林も含むという考えが生まれています。
フルボ酸鉄が海の生き物を育てている
元北海道大学教授の、松永勝彦さん
(『森が消えれば海が死ぬ」の著者としても有名)
を中心にした研究によって、
森林が海の生き物を育てる源であることが分かってきています。
その内容を紹介します。
魚・エビ類←動物性プランクトン←植物性プランクトン
アワビ・サザエなど貝類←海藻
白浜の地域経済を支えている魚・エビ類やアワビなど貝類の生育は、
プランクトンと海藻がどれ程育つかにかかっています。
プランクトンや海藻類が育つには、
陸上と同じように、
窒素・リン酸・カリやその他の微量栄養素が必要ですが、
これらを体内に取り込むには鉄がなくてはなりません。
人間の場合での鉄=ヘモグロビンと同じです。
フルボ酸鉄は森林の落ち葉などで作られる
落ち葉などが森林の中に堆積し、
微生物による分解や化学反応によって
フミン酸とフルボ酸という物質が作られます。
森林土壌の中の鉄をフミン酸が、水に溶けるイオンというかたちに変えます。
フルボ酸がその鉄イオンとが結びついてフルボ酸鉄になり、
河川をくだり海に入ります。
海のプランクトンや海藻類は、
鉄そのものを吸収することはできず、
イオンになっているフルボ酸鉄を取り入れてはじめて、
窒素などの栄養を体内に取り入れて育つことができます。
東京大学講師の山本光夫氏は2004年、
北海道増毛漁協と共に藻場回復の実験をしました。
鉄鋼スラグと堆肥を詰めたケースをなぎさに置いたところ1年目で、かなかったところに比べて重さで230倍の海藻が育ったことを確かめました。
(鉄鋼スラグは、鉄鋼を作るとき出るカスで、セメントに混ぜたり道路面に使われたりしていますが、環境への影響はまだ解明が不十分です。)
これまで「磯焼け」の原因として、
水質汚濁・水温上昇・ウニの食害などが考えられていましたが、
最近では森林開発とコンクリート護岸によって
フルボ酸鉄が作られにくくなっていることも、
原因とされるようになっています。
北極や南極に近い海では、
窒素やリン酸などの栄養素がとてもゆたかなのに、
海藻も育たず魚介類も住まない海域があるそうです。
その原因は、陸地に森林が無いからであろうと言われています。
1haの森林には3トンの堆積物
森林の落ち葉などの堆積物こそが、
安全に海の生き物たちを育ててくれていることが、
このように科学的にほぼ証明されています。
1haの森林には3トンの落ち葉など有機物の堆積があると言われています。
森と海の関係がかなり明らかになっている今、
長尾川源流域での7.9ha の森林消滅が、今と将来の白浜住民に何をもたらすのか?
慎重の上にも慎重に考えなければならないのではないでしょうか。
下沢のAさんは こう言われます
「風力発電など環境に優しいエネルギーを作ることは必要だが、そのために人の健康や自然をそこなったりするのは本末転倒。
それよりも行政が音頭をとって、
今地域にあるトウジイなどの未利用資源活用を考えるべきではないか。
トウジイを順繰りに間伐していけば、
景観もそこねず、エネルギー資源を無限に安定して生み出せる。
エネルギーの地産地消を考える時ではないか。」
同感です。
町内の木材をチップに加工し、
各家庭の炊事と暖房用に供給している自治体があります。
木材を燃やす時に温室効果ガスが出ますが、
その量は、
木材が育つ間に吸収した量と同じといいますから、
木質エネルギーは環境への負荷が少ない、
石油や電力よりずーっとましなエネルギー源と言えましょう。
しかも、トウジイの伐採に併せて落葉広葉樹の植林を進めれば、
川や海にフルボ酸鉄をたくさん供給して
魚介類の生産を増やすこともできるでしょう。
落ち葉と海藻で作る有機堆肥と安定した農業用水によって
農業が発展する道も開けるかも知れません。
山でも田畑でも海でも働く場が増え、
若者が年寄りといっしょに暮らせる白浜へ・・。
そのような夢実現への道を、森林の活用を原点にして描いてみたいものです。
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